故人が大のゴルフ好きだったケース
「伝統的な祭壇を用意したり、形式的なお葬式はイヤだ!」。
故人は生前、こう家族に話していたようです。
故人は大変なゴルフ好きで、元気なころは足繁くコースに出ていましたが、病気を患い長期間の入院を余儀なくされて、残念なことに亡くなられたのです。
奥様は、そんな故人への愛情がとりわけ強かったのでしょう。
「形式的なことにこだわるより、とにかくお父さんが好きだったゴルフを使って送ってあげたい」
「入院して好きなゴルフもできなくなったけど、本当はすごくやりたかったはずだ」
こんな想いを口にされました。
「お葬式をゴルフ場のイメージにしてみませんか?」
葬儀社がお葬式の打合せで、奥様の気持ちを聞いたのはお通夜当日のことだったといいます。
それでも何とか奥様の想いを形にしてあげたいとの気持ちが強かったのか、葬儀社のほうからそんな提案をしたようです。
「ゴルフ場」といっても、本物のゴルフコースをつくるわけではありませんし、ゴルフ場のイメージを感じさせる飾りつけをするだけですから、それほど大変な作業にはなりません。
グリーンをイメージさせる人工芝を葬儀会場に敷き、ピンの旗も立てました。
故人愛用のゴルフクラブを借りて飾りつけると、一見してお葬式の場とは思えない空間ができあがったのです。
ただ、こうした形で家族葬を行うことが決まったのがお通夜当日だったので、とにかく時間がなかったようです。
グリーンの上に立つ旗は葬儀社のスタッフが急濾、手作りしたものだったといいます。
お葬式で大切なものの一つは、遺族の「何かできる限りのことをしてあげたい」という故人への想いを形にすることです。
このゴルフ葬では、遺族と葬儀社のコミュニケーションがうまく取れたので、時間がなくても、結果としていいお葬式となったようです。
やはり、お葬式は遺族と葬儀社の二人三脚によってつくられるものなのですね。
一見すると葬儀会場には見えないお葬式でしたが、参列者は驚くより、故人に想いを馳せていたようです。
「アイツらしいな」、「そうだよね。相当なゴルフ好きだったからな」と、想い出話も弾みました。
その他、葬儀会場の一角にメモリアルコーナーを設けました。
故人が生前愛用したゴルフクラブや、ゴルフをプレイしている写真などを飾ったのですが、参列者は自然とこの場へ集まり、故人の話も盛り上がったといいます。
最近のお葬式では、メモリアルコーナーを設けることが珍しくありませんが、これも故人を偲んでもらうためなのです。
また、このときは遺影にもゴルフをプレイしている写真を使っています。
遺影がそんな写真だったりすると、一般の葬儀では驚く方が多いかもしれませんね。
でも、家族葬なら近しい参列者ばかりが集まるでしょうし、実際に故人のゴルフ好きを知っている方ばかりだったので、驚くどころか逆に故人らしいと感じていたといいます。
ひと昔前なら考えられないような写真を遺影に使うお葬式が、最近ではどんどん増えています。
ゴルフをプレイしている写真だけではありません。
歌を唄っていたり、タバコを吸っていたり、型にはまったものではなく、一番故人らしい写真を使ってあげようという遺族の気持ちの表れなのです。
最近では、遺影は写真ではなく、液晶モニターを使うことも多いようです。
昔は、写真の技術の問題もありますが、あまりいい写真ではなかったり、かなりの修整を施したり、引き伸ばしたことでピンボケが目立ってしまったり・・・・ということが多くありました。
しかし、遺影の写真を液晶モニターに映し出せば、何も写真を1枚だけに限る必要はありません。
たくさんの故人らしい写真をスライドショーで次々と再生することもできますし、こうしたほうがより故人らしさが表れた、遺族にとっても故人にとってもいいお葬式になるのではないでしょうか。
実際、「葬儀についてのアンケート調査」によれば、今後の葬儀のあり方について全体の約57%が「形式やしきたりにこだわらない自由な葬儀があってよい」と回答しており、この意見が全体のトップとなっています。
心に残る家族葬[http://www.sougiya.biz/]も、こうした世の中の意見を反映しているのでしょう。
お葬式はいい意味で、ずいぷんと自由なものになっているのです。
故人が麻雀の先生だったケース
家族葬を行う場合、故人の生前の職業や趣味、好きだったものがテーマになることが多いのですが、このヶIスの故人は麻雀の先生を仕事にしていました。
「愛用の麻雀牌を棺に入れてあげたい」
当初、遺族はこのように希望していましたが、問題がありました。
実は、火葬場では燃えにくいものを棺に入れることは禁止されているのです。
火葬をするとき、後に行う骨上げのためにきれいに骨を残さなければなりません。
ところが、燃えにくいものが棺に入っていると、きれいに骨を残すことができないのです。
こうした理由から、ガラスやプラスチック、カーボン製品、そして意外かもしれませんが、分厚い本も棺には入れられません。
変わったところでは、大きな果物も禁じられています。
みかん程度ならいいのですが、メロンやスイカほどの大きさになると不完全燃焼を起こしてしまうからです。
こんな事情を知った遺族は、象牙でできた麻雀牌を棺に入れるのを諦めかけていました。
ところが、相談を受けた葬儀社は、棺に入れることのできる麻雀牌はないものかと考えたのです。
あれこれと思案をした末に出た結論は、燃やせる麻雀牌を作ればいいというものでした。
葬儀社のスタッフはまず文房具店に走りました。
消しゴムを買うためです。
消しゴムでいくつかの麻雀牌を作ろうというのですが、本物の麻雀牌のように、きれいに「一萬」、「發」といった字を彫ることは無理です。
そこで、字が彫られた牌の表側は、パソコンでプリントアウトした紙を貼りつけて作ったといいます。
そして牌の裏側や側面は黄色のマジックで本物のように塗りました。
遠目に見たら本物のように仕上がり、遺族は満足だったようです。
この消しゴム製の麻雀牌は、「七萬」と「八萬」が作られたのですが、これにもちゃんと理由がありました。
故人が享年78歳だったからです。
麻雀牌が祭壇に飾ってあるお葬式は、確かに変わっているかもしれません。
しかし、遺族は決してふざけているわけではないのです。
よくよく考えてみれば、故人につけられる戒名も、例えば生前に歌手だったら「歌」という字や、野球選手なら「球」という字を入れることは普通にありますし、これを変わっているなどという方はいないのではないでしょうか?
戒名と同じとは言わないまでも、家族葬もこれに類する考えがあってのお葬式のやり方なのです。
こういう故人の偲び方があっても、何ら問題はありません。